第6章不適切

ヘルメス

彼女を異動させるべきだった。

昨日、急遽ねじ込んだ面談で、担当のセラピスト――アランがそうしろと勧めた。俺も同意した。正しい判断だったからだ。

だが、しなかった。というより、できなかった。

彼女はまだここにいる。俺のオフィスの前に座り、俺の空気を吸い、頭をまっすぐ働かせることを難しくする。

だから別の戦略を組み立てる。欲望を止められないのなら、燃え尽きさせる。距離ではなく、規律で。

執着は、柔らかいまま置いておけば力を持つ。ならば、鋭く、冷たく、統制されたものに変えてやる。

利用できるものに。憎しみのようなものに。

今朝、彼女は俺にコーヒーを持ってくる。まるで俺が自分で...

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