第63章クレーム

六月

「ハーメスさん」――ミスター・ポールの声がして、続いて扉が閉まる柔らかな鈍い音がした。

「ポール、用件は?」ミスター・グランデの声が返ってくる。少し息が上がっているようにも聞こえるけれど、また私の思い込みかもしれない。

ごくりと唾を飲む。この狭い物置は、書類と紙の匂いが濃くこもっていた。

「ええと、ガラの結果について――」ポールが切り出しかけたところで、ハーメスが遮る。

「それは後だ。ほかにあるか?」

……あ。ほかの人に対しても、ああやって遮るんだ。私だけじゃない。もしかして私は彼を誤解していたのかもしれない。あのとき私に噛みつくような態度を取ったのは、私たちが一夜を共にした...

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