第80章ヴァネッサ

六月

トビアスはため息をつき、膝の上に手を置いた。

「君のチームリーダーのスコット。姉貴だから、悲しまなきゃいけないんだろうけど……正直、そうでもない。停職二週間だし、ぶっちゃけ……必要だったと思う。今あいつが抱えてる何かを、ちゃんと乗り越えるためにも」

顎がきゅっと強張る。こんな展開になるなんて思っていなかった。

私は椅子にもたれ、呆然としたまま口を開く。「じゃあ……スコットさんが停職にしたってこと?」

トビアスはうなずく。「そう。知らされてなかったの?」唇が少し開く。「ああ――君、スマホをマナーモードにしてたんだ。俺、忘れてた」

眉を寄せながら言いかける。「リアが無事だといいけ...

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