第6章
ゲストたちが口々に、七海浩紀と私に何かするよう囃し立て始めた。
「サトミ! 静君!」
明月心が新郎の腕を取り、興奮気味に甲高い声を上げる。
「あなたたち二人って、昔はうちの学部の模範カップルだったじゃない! ハグの一つくらい見せてよ!」
私はどうすればいいのか分からず、気まずいままその場に立ち尽くした。
「わ、私……もう婚約者がいますし……」
彼は私の耳元に顔を寄せ、低い声で囁いた。
「ならそいつを捨てて、俺のところに戻ってこい」
もう少しで、頷いてしまいそうだった。
危ない、危ない。まだ私には理性が残っていた。
披露宴の後半、私はシャンパンを立て続けに呷っ...
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