第101章

三日後。

空は鉛色に曇っていた。

林夕葵は床まで届く大きな窓の前に座っている。黒いシルクのキャミソール型のネグリジェ。裾は短い。

陸川時生はキッチンでステーキを切っていた。

林夕葵が近づく。裸足のまま。

背後から陸川時生を抱きしめ、頬を彼の背中に押し当てる。

「……旦那さま」

声をかけた瞬間、陸川時生の手が止まった。包丁の刃先が、まな板にコツンと触れる。

彼は振り返る。

林夕葵が見上げる。記憶は、新婚一年目で止まっている。

「出張じゃなかったの?」

指先で彼の胸元に、くるくると円を描く。

陸川時生は彼女を見下ろした。胸元は深く開き、白い肌が覗く。

過去を消す。それが...

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