第102章

林夕葵は蛇口を閉めた。水音が止む。

傍らの白いタオルを手に取り、頬を伝う雫を拭う。鏡の中に映った顔は、痩せこけて頬骨が目立っていた。

身を翻し、トイレの扉を押し開ける。

陸川時生はアイランドキッチンの前に立っていた。灰色のニット。手には白い磁器の皿。縁が少し焦げた目玉焼きが二つ、並んでいる。

林夕葵は歩み寄り、ハイチェアを引いて腰を下ろした。

陸川時生は皿を彼女の前に置き、ナイフとフォークを渡す。

「食え」

林夕葵はカトラリーを取った。黄身に刃を入れると、とろりと流れ出して白身を染める。一口分を切り、口へ運ぶ。噛んで、飲み込む。

「パソコンが欲しい」

食べながら言うと、陸川...

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