第61章 手がかりを発見

「メトトレキサート――検出濃度はこの数値だ」

陸川時生は車のドアにもたれたまま言った。

「この二日で薬がすり替わったことに気づかなかった場合、通常量で飲み続けても二週間以内に肝酵素が跳ね上がる。出てくる症状は、よくある副作用と見分けがつきにくい」

「……誰が、私が検査しないって確信できるの」

「林遥香は、お前が全身治療を受けてるのを知ってる」陸川時生は淡々と続ける。「頻繁に再検査しないほうに賭けた。あるいは検査しても、数値の異常を『薬のすり替え』に結びつけるのが遅れるほうに」

林夕葵は報告書を閉じた。

「私が真相に辿り着く前に、先に死ぬって踏んだのね」

声は、驚くほど平坦だった...

ログインして続きを読む