第62章 覚えていろよ

林夕葵は目を閉じ、また開いた。

「辰樹ね……小さい頃、ものすごく暗いのが怖かったの」

陸川時生は何も言わない。

「電気を消すとすぐ泣いて。必ず豆電球をつけたままじゃないと眠れなくて」林夕葵の声はかすかに震え、ひどく低い。「ミニチュアの飛行機も枕元に置いて、翼を触ってないと落ち着かなかった」

陸川時生は、ただ彼女を見つめていた。

「三歳のとき、星空のプロジェクターを買ってあげたの。天井に映るやつ。あの子、本物の星だって信じてね。毎晩、天井を指さして数えるの。二十個数えたら寝るって決めてた」

「……そのあと」

「壊れたの」林夕葵は小さく笑った。「一晩中泣いて。私、夜中にA市の半分く...

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