第64章

「お前――」

「信じようが信じまいがな」

陸川時生は秦野彰の襟元を鷲づかみにした。

「今日の事故は、誰かがあいつの車を追ってたせいだ。誰の差し金だと思う?」

秦野彰が乱暴に突き放す。

陸川時生は退かない。振り向きざま、拳を叩きつけた。

鈍い衝撃。秦野彰の顔が横に弾け、よろめく。口元を拭えば血がついた。眼の奥が赤く燃え、今度は秦野彰が殴り返す。

救急外来の廊下で、二人はもつれ合って床に転がった。

「やめて! 先生呼んで!」

ナースの叫びに重なるように、警備員が駆け込んでくる。

「やめろ! ここは病院だ!」

警備員が二人を引き剥がした。陸川時生は壁際へ押しやられ、胸が激しく...

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