第78章

屋上。

風は弱まる気配すらない。

林夕葵の華奢な身体がふらりと揺れた。地面にしゃがみ込んだ秦野彰を見下ろす瞳には、もう何の波もない。体力は完全に底をつき、膝が折れ――そのまま前のめりに倒れかけた。

――ガンッ!

鉄扉が、耳をつんざくほどの音を立てた。

外からの力で二枚の扉が一気に蹴り破られ、コンクリートの壁に叩きつけられる。バリバリ、と壁の塗装が大きく剥がれ落ちた。

黒服のボディガードが四人、雪崩れ込むように入ってくる。瞬時に左右へ散り、階段口へ通じる死角を塞いだ。田中勇気は抵抗する間もなく押さえ込まれる。

陸川時生が、大股で姿を現す。

地に伏す秦野彰には目もくれず、まっすぐ...

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