第84章

捜査員たちはボディガードを一瞥すらせず、まっすぐ奥のボックス席へ。木床に革靴が揃って響く。整った歩幅。拒めない圧。

先頭の男が書類を取り出し、秦野彰の前に示した。

「秦野彰さん。こちらは経済犯罪捜査課です。あなたはK国諸島の『旭日キャピタル』を利用した海外資金洗浄、ならびに国内株式市場の悪質な相場操縦の疑いがあります。ご同行ください」

秦野彰の瞳孔が縮む。

「……っ」

勢いよく立ち上がった拍子に、背後の椅子がガタン、と倒れて床を打った。店内の視線が一斉に集まる。

秦野彰は林夕葵を睨み据えた。目の奥で、怒気と信じがたい現実が渦を巻く。

「お前が仕掛けたのか」

「あなたが自慢...

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