第87章

顔色は青白い。だが、その眼差しは刃のように鋭かった。

彼女は背手でドアを閉める。視線が、ボディガードに取り囲まれた医療チームをなぞり、最後に秦野彰と林遥香へ落ちた。

「救わせて」

林夕葵は、たった一言を吐き出した。

「寝言は寝て言え」

秦野彰は彼女を睨み据え、瞳の奥に嘲りを滲ませる。

「林夕葵。お前らが何を企んでるか、俺が知らないとでも? 爺さんが手術台で死ねば、お前らの思惑どおりだろうが」

秦野彰の背後で、林遥香が身を隠すように立ち、口元に気づかれない程度の冷笑を浮かべた。

林夕葵は、秦野彰の怒号を相手にしない。

そのままナースステーションへ歩き、机の上に置かれていた空白...

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