第93章 独断専行

陸川時生はサインペンを仕舞った。

一歩で敷居をまたぎ、千野医師を押しのけると、そのまま救命処置室へ駆け込む。

室内は電子アラームの警報音で満ちていた。

赤い警告灯が、6台のモニター画面で狂ったように点滅している。

林夕葵はベッドに仰向けのまま横たわっていた。顔から血の気が失せ、唇は低酸素の紫に染まっている。

酸素マスクの内側には、ごく薄い白い曇りがかかっていた。

固く閉じた目尻から涙が二筋こぼれ、こめかみを伝って落ちる。枕は大きく濡れていた。

陸川時生は大股で枕元へ行く。

指で彼女のまぶたを開く。瞳孔の対光反射は鈍い。

「血液ガスの結果は?」

陸川時生が問うと、看護師が検...

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