第99章

目に飛び込んできたのは、あたたかなベージュ色の天井だった。空気には、かすかなフリージアの香りが漂っている。

彼女は上体を起こした。身にまとっている病衣はいつの間にか脱がされ、やわらかなシルクのネグリジェに替わっていた。

ドアが押し開けられる。

陸川時生がトレイを手に、部屋へ入ってきた。

白衣は脱ぎ、家用のグレーのニットに着替えている。硬質だった顎のラインが、朝の光の中で不思議とやわらいで見えた。

林夕葵は彼を見つめ、ぱっと目を輝かせる。

布団をはねのけ、裸足のままウールの絨毯を踏んで、早足で彼の前まで行った。

「時生」

名を呼ぶ声は澄んでいて、濁りがない。

陸川時生はトレイ...

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