第107章

親権を手放すと決めてから、周防凛は佐藤弁護士に頼み、離婚協議書をもう一度書き直してもらった。

これ以上引き延ばす気はない。周防凛は自ら西原グループへ持ち込む。

だが運悪く、西原司は国際会議の真っ最中で、周防凛と面会する時間が取れなかった。

会議室で彼女に応対したのは、離婚案件の代理人弁護士である平岡咲人だった。

「周防さん。この内容ですと、財産分与は放棄――いわゆる「手ぶら」での離婚になります。西原様としては、合理的な範囲で可能な限りの補償をお渡ししたい、というご意向です」

新しい協議書に目を通した平岡咲人は、内心で息を呑んだ。周防凛が、財産をすべて捨てるなんて。

――彼が聞いて...

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