第118章

空気が、しんと凍りついた。

西原司の視線だけが熱を帯び、周防凛の返事を待っている。

「……景冶の親権が欲しいんだろ」西原司は沈んだ顔のまま言った。「俺が……やる」

周防凛は顎をわずかに上げた。珍しく、上に立つ者の余裕を纏って、口元だけを薄く吊り上げる。

「西原司。遅いわ」

葉山美晴への甘さと偏りが、いったいどこまで行き着くのか――それを確かめたかった。

「期限は過ぎた。もう親権なんて要らない」周防凛は淡々と言い捨てる。

そのまま背を向け、振り返りもせずに出ていった。

ドアノブに指をかけ、引いて外へ出ようとした瞬間。

骨ばった長い指の手が、どん、と扉に押し当てられた。扉がびく...

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