第120章

現場は人でごった返し、あちこちから指さしとひそひそ声が飛び交っていた。

平岡貴利は対応が早い。すぐさま警備に指示を出し、現場を封鎖させると同時に、野次馬を散らしていく。

そこへ周防凛が姿を見せた瞬間、群衆は潮が引くように道を空けた。

周防凛を見つけるなり、葉山美晴は目を真っ赤にして、涙をぼろぼろこぼしながら駆け寄り、その手を握りしめた。

「周防さん……母はもう三回も危篤の通知が出てて、あと何日ももたないんです。いま助けられるのは周防さんだけ……お願いです。どうか、どうか……母を助けてください」

しゃくり上げる声。濡れた睫毛。痛々しいほどの必死さが、見る者の胸を揺さぶる。

その言葉...

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