第126章

二日後、周防凛のもとに西原グループのアシスタントが和解書を届けてきた。

その瞬間、周防凛は悟る。

――葉山美晴が、また勝ったのだと。

たとえ浮気という裏切りがあっても、葉山美晴がほんの少し小細工をすれば、西原司は喜んで膝を折る。心から、従う。

周防凛は和解書を開き、中身を一行ずつ丁寧に追った。

西原司が追記した項目は多い。主に、周防凛への補償について。

ペンを取り、署名しようとする。

ペン先が紙に触れた、そのとき。

周防凛の手が、ぴたりと止まった。

脳裏に、黄前瑞幸の――あの歪んだ、刃みたいに鋭い顔が、唐突に浮かんだのだ。

周防凛は和解書を脇へ置き、スマホを手に取って村野...

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