第136章

朝食を済ませると、二人は連れ立ってプレジデンシャルスイートを出た。

ロビー階まで降り、ここで別れるというタイミングで、周防凛がふと足を止める。

「西原司」

呼び止められて、西原司は振り返った。眉と目元に、どこか柔らかな色が宿る。

けれど周防凛が口にしたのは、甘い言葉ではなかった。

「離婚協議書。ちゃんとサインして」

西原司は顔をそむけ、表情を冷たく固めた。理由も分からない苛立ちが胸の奥でざらつく。

「……ああ」

ちょうどそのとき、アシスタントが車のドアを開けて待っていた。周防凛はそれ以上何も言わず、そのまま乗り込む。

一方の西原司は、いったん西原家へ戻った。

    ◇

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