第154章

葉山美晴は西原司に押されてよろめき、体勢を立て直すと、またすぐ距離を詰めた。両手を彼の肩に絡める。

「司、景冶は使用人が見てるから大丈夫よ。それより……今のあなた、その格好で外に出るつもり?」

指先が彼の首筋をなぞり、脈打つ動脈の上をくすぐるように滑った。

「薬、盛られてるんでしょ。外には人がいっぱいいるのに……そんな状態で出たら、みっともないことになるわ」

西原司は答えない。呼吸は荒くなる一方で、体内の燥熱は火種みたいに燃え広がり、もう限界だった。

次の瞬間――

「ガンッ!」

鈍い衝撃音。ガラス片がばらばらと飛び散った。

西原司の拳がガラスのローテーブルを叩き割っていた。拳...

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