第168章

西原司からの返信は早かった。『どういたしまして』

周防凛は、スマホの画面をぼんやり見つめたまま固まる。

しばらくして端末を置き、デスクに戻って東松嵐が残した委任状のコピーに目を通した。けれど、視線だけが紙の上を滑っていく。

――西原司は、彼女のトレンドを消してくれた。メディアの前で論文の修正履歴まで公開して守ってくれた。西原お婆さんの前でも、彼女の味方をした。そして今度は、平岡グループが抱えていた最悪の火種を、あっさり潰してみせた。

西原司がいなければ、平岡グループは今日、持ち株を失っていたかもしれない。あるいは巨額の負債を背負っていたかもしれない。

周防凛は考える。彼は、なぜそこ...

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