第173章

その日の午後、周防凛は西原家へ戻ってきた。

スーツケースを引きながら玄関をくぐった瞬間、リビングから西原景冶が駆けてきて、勢いよく彼女の胸に飛び込む。

「お母さん!」

周防凛は腰を落として景冶を抱き上げた。小さな腕が首にぎゅっと絡みつき、離れようとしない。

「お母さん、これからずっとおうちにいるの?」

周防凛は景冶の頭をそっと撫でるだけで、答えは濁した。

景冶は気にした様子もなく、彼女の手を引っ張って言う。

「ねえ、ゲームしよ!」

周防凛がソファに腰を下ろすと、ひとり掛けのソファの上に恐竜の模型が置かれているのが目に入った。

一目で分かる。葉山美晴が買ったものだ。

景冶は...

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