第176章

「七年前のこと?」

葉山正栄は口元に浮かべていた笑みを引きつらせた。「そんな昔のこと、正直あまり覚えていないかもしれない……」

西原司は回りくどい前置きはしなかった。書類袋をすっと押し出し、口を開けたまま中の数枚の紙の端を見せる。

「葉山叔父さん。七年前の、国際規模のチャリティー晩餐会……覚えてますよね?」

葉山正栄の視線が書類袋に落ちる。喉仏がごくりと動いた。

「……うっすらな。たしか、あの年は規模が大きかった。西原グループも主催の一つだったはずだ」

「その夜、誰かが俺の部屋のカードキーをすり替えた。さらに、俺が飲んだ酒に「何か」を混ぜた」

司の声は静かだった。だが、黒い瞳の...

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