第177章

西原家に戻ったときには、もう0時近かった。

玄関の灯りがついている。西原司は靴を脱いでリビングへ入った――その足が、ふっと止まる。

ソファにもたれた周防凛が、半分開いた本を手にしたまま眠っていた。掛けていた毛布はずり落ち、膝のあたりで止まっている。

薄いグレーの部屋着。肩先にふわりと落ちる、ほどけた髪。規則正しい寝息は、待っているうちに寝落ちしたのだと告げていた。

西原司はその場で、しばらく周防凛を見つめた。

――結婚して七年。

深夜まで残業することは珍しくなかった。周防凛は妻として、こうして何度も、夜通し彼の帰りを待っていたのに。自分は一度だって、まともに気に留めたことがなかっ...

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