第178章

金曜の夕暮れ。東山覚は平岡グループのビルの前に姿を現し、周防凛を待っていた。

周防凛は東山覚と連れ立って、近くのフレンチレストランへ入る。

席に着くなり、東山覚は世間話ひとつ挟まなかった。ブリーフケースから封筒を取り出し、すっと凛の前へ滑らせる。

「凛ちゃん。今日来たのは……昔のことを、ひとつ伝えたくて。これ、見て」

重い声だった。

周防凛は封筒を開ける。中には数枚の書類と、何枚かの写真。

一枚、また一枚と目を通すたび、顔から血の気が引いていく。

書類には、七年前の慈善パーティー当夜の細部が残っていた。ホテルの客室変更の記録、ある富豪の個人口座の入出金、そして葉山家の人間とその...

ログインして続きを読む