第179章

西原司が突然現れた瞬間、葉山家の人間たちは背筋をひやりとさせた。

葉山美晴の瞳に一瞬、動揺が走る。だがすぐに無垢な顔を作り、駆け寄った。

「司、どうして来たの?」

西原司は美晴に答えない。視線だけが彼女を越え、周防凛に落ちた。

凛はローテーブルのそばに立ち、書類を握り潰すように掴んでいる。瞳の奥には、限界まで押し殺した怒り。

彼を見ようともしないまま、黄前瑞幸を睨み据えた。

「西原司、ちょうどいい。七年前のあの夜、薬を盛ったのは葉山家よ。金を受け取って、私を年寄りの男のベッドに放り込もうとした」

凛は書類を西原司の前へ突き出し、歯を食いしばる。

「自分で見て。入金先の名義は黄...

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