第181章

西原司は社長のデスクの前に座り、目の前に、周防凛がすでに署名を済ませた離婚協議書を広げていた。

手には万年筆。ペン先は署名欄の上で止まったまま、なかなか紙に触れない。

サインをすれば――自分と周防凛の、七年にわたるしがらみは完全に終わる。

では、しないのか。

もう、しない理由などどこにもない。以前なら祖父を盾にできた。だが今は……。

西原司はそっと目を閉じ、やがて決意したようにペンを走らせた。

一画一画、異様なほどゆっくりと。

最後の一筆を書き終えると、協議書を閉じて書類袋に入れ、立ち上がる。大村静也を呼んで届けさせようとした、そのとき。

スマホが鳴った。

表示された名前は...

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