第20章

水曜日の午前。周防凛は車を走らせ、工科大学へ向かっていた。

ここ数日は雨が続き、路面はつるつるだ。

ちょうどそのとき電話が鳴り、周防凛はセンターコンソールのスマホに手を伸ばす。着信表示をちらりと確認した――その瞬間。

小さな犬が、ひょいっと車道の真ん中へ飛び出してきた。

「っ……!」

反射的に急ブレーキ。だが濡れたアスファルトは容赦がない。制動距離が伸び、タイヤがずるっと滑った。

ようやく車が止まったころには、犬はもう車の流れをすり抜けて向こう側へ駆け抜けていた。

無事を確認し、周防凛は胸を撫で下ろす。

――もう一度発進しようとした、そのとき。

「バンッ!」

鈍い衝撃。追...

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