第21章

周防凛の視線は、ひしめく人波の向こうをすり抜けていく。西原司が葉山美晴を連れ、松谷南の前へと導くのが見えた。

西原司は仕立てのいい黒のスーツ姿。身のこなしの端々に、育ちの良さと紳士の気配が滲む。

表情は柔らかく、松谷南に話しかける口ぶりには、後輩らしい謙虚さがあった。

ほどなくして、西原司は葉山美晴を松谷南へ紹介する。

距離があるせいで会話は聞こえない。けれど、空気が和やかなのは伝わってきた。

葉山美晴の顔には、自信に満ちた、華やかな笑み。

物おじせず松谷南と談笑し、西原司はその隣で寄り添うように立ち、情のこもった視線を向けている。

周防凛の胸の奥に、苦いものがじわりと広がった...

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