第53章

ざわ、と会議室が揺れた。声のしたほうへ、全員がいっせいに顔を向ける。

現れたのは——葉山憲之介。葉山美晴の実弟だった。

憲之介は早足で中へ入り、美晴の隣に立つと、姉を背にかばうように一歩前へ出た。

「西原様。鍵を漏らしたのは俺です。責めるなら、俺を責めてください」

憲之介が、すべての罪を一人で引き受ける。

西原司の顔から、さっと温度が消えた。氷を張ったような目で問う。

「理由は?」

憲之介は目を真っ赤にして周防凛を指さした。

「こいつが気に食わなかったんです。姉貴はオールAで卒業した優秀な人間だ。なのに、なんであんな——ただの学部卒に平岡グループから弾き出されなきゃいけないん...

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