第55章

西原司にじっと値踏みするような視線を向けられても、東山覚は相変わらず我が道を行く。

 東山覚は唇の端を軽く上げ、薄く笑った。

「何を見てるんです?」

 そのまま泰然とエレベーターへ乗り込む。

 西原司も後に続き、東山覚の隣に立った。

 すらりと伸びた人差し指で閉ボタンを押しながら、西原司が淡々と言う。

「覚、お前は昔から、余計なことに首を突っ込む男じゃないだろ」

 東山覚は顔色ひとつ変えない。

「何ですか。俺が出しゃばりすぎたとでも?」

 西原司は黙ったまま、それを肯定した。

 東山覚は笑みを崩さず、眼鏡の奥の目に淡い静けさを湛える。

「俺は周防さんと親しいわけじゃあり...

ログインして続きを読む