第63章

西原司は手に解熱シートを持ち、そっとこちらへ伸ばしてきた。

周防凛は嗅覚が敏感だ。ふわりと、また葉山美晴の香水の匂いが鼻を刺す。

反射的に、吐き気がこみ上げた。

顔を背けようとした瞬間、西原司の手が頬を押さえ込む。

「周防凛、熱がある」

低い声でそう言うと、彼は解熱シートを彼女の額へ貼りつけた。

季節の変わり目の冷えにやられ、さらに西原景冶の看病で夜更かしが続いたせいで、周防凛の風邪は悪化していた。熱は下がらず、じわじわと上がり続けている。

「……あんた……」

言いかけたが、喉がひりついて、声にならない。

――どうして、ここにいるの?

美晴が怪我をしたのなら、西原司は付き...

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