第68章

電話の着信音が、荒い息づかいに満ちたリビングに不釣り合いに響き、ぞくりとするほど不気味だった。

周防凛は酔いが一気に引いて、はっと我に返る。乱れた服のままの西原司を手で押しのけ、暗がりの中でスマホを探った。

画面に出た名前は平岡貴利。

――凛が無事かどうか、確認の電話だ。

平岡貴利は凛をマンションの敷地まで送り届けたあとも、すぐには帰らず、外で待っていたらしい。いつもなら、凛の部屋に灯りがつくのを見届けてからようやく立ち去る。

ところが今夜は、いくら待っても灯りがつかない。

嫌な予感がして電話をかけた、その一本が――西原司と周防凛の熱を、真っ向から断ち切った。

凛はようやくスマ...

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