第72章

西原景冶のアレルギー反応は想像以上に激烈だった。気道が塞がり、ショック状態に陥って――心停止。

周防凛は危篤通知書を握りしめたまま、全身ががくがくと震える。涙は糸の切れた珠みたいに、ぽろぽろと止まらなかった。

「先生……お願いです、お願いです……うちの子を、助けてください」

絶望の淵で、周防凛は医師の白衣の袖を掴む。

医師は険しい表情のまま、彼女の肩にそっと手を置いた。

「保護者の方、こちらも全力を尽くします。ただ、いま患者さんの状態が不安定です。書類にご署名をお願いします」

震えがひどく、差し出されたペンをまともに握れない。

そのとき、温かく大きな手が、周防凛の震える手を包み...

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