第82章

電話を切った直後、葉山美晴は理性の糸がぷつりと切れた。スマホを床へ叩きつけ、ガンッと鈍い音を響かせると、堪えきれない怒号を上げる。

黄前瑞幸が慌てて駆け寄り、顔色をうかがった。

「美晴、西原司のほうで何かあったの?」

葉山美晴は目尻を赤くし、瞳の奥にどろりとした憎悪を溜めたまま、歯を食いしばって吐き捨てる。

「……昨夜、司は周防凛と一緒にいた」

西原景冶の話では、西原司は周防凛を抱いたまま眠っていたという。合法的な夫婦で、しかも西原司は薬を盛られていた。周防凛が、そんな好機を逃すはずがない。

黄前瑞幸が悪態をつく。

「こっちはあれだけ仕込んだのに、周防凛のクズに持っていかれたっ...

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