第85章

社長室の空気が、瞬く間に氷点下まで落ちた。

平岡咲人は西原司の冷え切った横顔を直視できず、ごくりと唾を飲み込み、恐る恐る切り出す。

「西原様、親権の件ですが……どうなさいますか」

西原司の機嫌が悪いのを見て取りつつ、平岡咲人は冷静に状況を整理した。

「こちらが提示した条件は、もう上限に近い内容です。それでも先方は話し合いにならず……法務部でも協議しましたが、このままだと最終的に裁判になる可能性が高いかと」

「……」

次の瞬間。

「カン」

西原司が湯呑みを置く乾いた音が響いた。立ち上がった彼は、険しい顔のまま社長室を出ていく。

平岡咲人だけが取り残され、息をするのも怖いほどだ...

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