第87章

朝日柏矢の言葉が落ちた瞬間、場の空気がすうっと冷えた。妙にねじれた沈黙が漂い、西原司は表情ひとつ変えず、東山覚をじっと見据える。

西原司も内心では気になっていた。ここ最近の東山覚の動きが、どうにもおかしい。平岡グループと組んでからというもの、友人同士の集まりにも顔を出さなくなり、三日に一度は姿が消える。

東山覚はグラスを握る指にわずかに力を込めたが、顔色は崩さずに説明する。

「うちの祖父が周防のお爺さんと少し縁があってね。招待状は祖父宛てに届いたんだが、今は海外で出席できない。だから俺が代わりに祝意を届けに来た」

短い沈黙ののち、面白がって見ていた朝日柏矢が笑った。

「なるほどね。...

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