第97章

平岡貴利が玄関をくぐるなり、周防凛に矢継ぎ早に気遣いの言葉をかけた。口をついて出るのは、痛ましさばかりだ。

周防凛と平岡貴利は並んで大きなソファに腰を下ろし、静かに言葉を交わしている。

平岡貴利が周防凛へ向ける視線には、濃い愛情だけではなく、抑えきれない胸の痛みが滲んでいた。

周防凛はその気遣いに応えながら言う。

「先輩、大丈夫です。実際に大きな被害は受けてません。今回のことは……結局、私の警戒が甘くて、羽田につけ入る隙を与えただけです」

平岡貴利は、周防凛の首元に残る赤い痕を見て顔を歪めた。

「羽田亮太、あんなクズ……殺したって惜しくない。手に入らないなら、そんな卑怯な手を使う...

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