第109章

「美玲おばさん! ふふ、ずいぶん甘えた呼び方じゃない」

控室では、多喜がそのまま私のメイクを続けていた。

ドアの外から聞こえてきた声に、彼女は白目をむいて、鼻で小さく笑う。

「白石紗月、あんたの息子はもう手遅れ。黒瀬蓮と離婚する時、絶対に親権で争わないでよ」

「黒瀬蓮と美玲にくれてやればいい。あの美玲、本気であの子を可愛がってるわけじゃないでしょ。あんたが黒瀬蓮ときっちり別れたら、黒瀬律のことも今みたいに甘やかさなくなる」

「その時になって、あのクソガキは思い知るのよ。世界でいちばん自分に優しかったのは、あんただって。崩れて泣きわめく姿が目に浮かぶわ」

……正直、もうどうでもよか...

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