第11話

黒瀬蓮が玄関口に立っていた。いつもは感情の起伏が見えないその顔に、いまは怒りが燃え上がっている。

「……大丈夫か」

入口のほうで起きた物音は、すぐに私と神谷怜の耳に届いた。

レストランから飛び出した瞬間、白石紗月が殴られているのが見えた。

怜は小さな拳をぎゅっと握りしめ、矢のように紗月のもとへ駆け寄ると、彼女の手を掴んで数歩うしろへ下がらせた。そして、黒瀬蓮を睨みつける。

怒った子ライオンみたいな目。

「お前、何様だよ。僕がママだって決めた人に手を出していいわけないだろ!」

「ママ?」

黒瀬蓮は、背丈は小さいのに頑なに白石紗月をかばう怜を見た。次いで、その背後に立つ私へ視線を...

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