第22話

「殴られそうになったって?」

黒瀬律の顔がさっと青ざめ、反射的に首を振った。

「ありえない。僕、見たもん。お母さんが美玲さんを突き倒した」

「……子どもなのに、よくそんな嘘が平気でつけるね」

私が真実を口にしているのに、息子の黒瀬律はなおも美玲を庇う。神谷悠真が笑った。そこにあったのは、嫌悪と嘲りだけ。

「白石紗月さんは足首の軽い骨折だ。医者が言った。これから一週間はベッドで安静」

「黒瀬律くん、教えてくれ。そんな状態の君の母親が、どうやって美玲さんをいじめる?」

足首の骨折……?

そんなに重かったの?

神谷悠真の追及に、黒瀬律は言葉を失い、黒瀬蓮までも眉根を寄せた。

「...

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