第39話

「……白石紗月が、おまえの母親だって?」

廊下に神谷怜の声が響く。信じられない、とでも言いたげな調子だった。怜は私の前に立ち、背伸びするようにして黒瀬律を見上げる。小さな眉間は、ぎゅっと険しく寄ったまま。

「でもさ。律、前に何回も言ってたじゃん。白石紗月なんてママじゃないって。ママは美玲さんがいいって」

黒瀬律の顔が、かあっと赤くなる。

「うるさい……黙れよ……!」

「それに、美玲さんと一緒に、園の親子イベントも出たよね」

怜は引かない。言葉を切らせないまま、畳みかける。

「先生が言ってた。あれは家族じゃないと参加できないって。美玲さんを連れてきたってことは、つまり……美玲さん...

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