第62章

「……いいわ」

私がようやく折れると、警官たちはほっと息を吐き、すぐさま高木直哉に手錠をかけた。

連行される直前、高木直哉は黒瀬蓮の目をまっすぐ見据え、言い残す。

「黒瀬蓮。美玲は藤崎杏奈を誘拐なんかしてない。なら白石紗月に、美玲を杏奈のためだって殴る資格もない。……美玲が、お前のためにどれだけ苦しんだか覚えてるなら、紗月を許すな」

黒瀬蓮は高木直哉を見て、それから――庇いが消えた途端、床にしゃがみ込んだまま小さくすすり泣く美玲へ視線を移した。長い沈黙ののち、最後にその目が私へ向く。

「事情も確かめずに美玲を殴って、警察まで呼んで連行させた。白石紗月、今回は本当にやりすぎだ。罰とし...

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