第65章

「美玲……?」

足が止まり、反射的に目を上げて前方を見た。

やっぱりだ。いま、美玲と黒瀬蓮が黒瀬律の背後に並んでいる。事情を知らない人間なら、家族三人に見えてしまうだろう。

神谷怜はというと、若い女性の背中の後ろで俯いて立っていた。

おそらく――その若い女性が佐藤先生だ。

彼ら以外にも、ホテルのロビーには野次馬が何人も集まっている。向けられるのは、神谷怜への露骨な蔑みの視線。まるで彼が取り返しのつかない過ちを犯したみたいに。

眉間が勝手に寄った。私はすぐさま大股で歩き、神谷怜の前に立って庇う。

「白石紗月、何しに来たんだよ」

「お前さ、自分でうちの“使用人”だって言ってたよな...

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