第70章

「神谷怜、ごめんね。この間ずっと、つらい思いをさせちゃった」

黒瀬蓮の視界から完全に逃げ切った頃には、もう昼前になっていた。私は神谷怜を連れて近くの病院へ行き、医師に身体を診てもらう。

大きな怪我じゃないと分かった瞬間、胸の奥の固まりがほどけた。私はほっと息を吐き、前から気に入っているレストランへ彼を連れていった。

席に着くなり、私は神谷怜の手を取って、改めて頭を下げる。

「全部、私が悪い。黒瀬律をちゃんと導けなかったし、あなたを守れなかった」

「白石紗月、自分を責めないで。白石紗月は何も悪くないよ。悪いのは美玲おばさんだもん」

神谷怜はぎゅっと私を抱きしめ、行儀のいい笑顔を向け...

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