第75章

美玲は、周囲の視線が一斉に自分へ集まったのを感じた瞬間、私が嫌というほど見慣れた“あの顔”に切り替えた。目尻を赤く滲ませ、黒瀬蓮の袖をきゅっと掴む。声は風に揺れる木の葉みたいに震えていた。

「黒瀬蓮、聞いて……説明させて。私、白石紗月さんをわざと責めたわけじゃないの。白石紗月さんが持ってた薬が、あんなに強いなんて知らなかった。白石紗月さんは専門のお医者さんじゃないでしょ? だったら私は、専門医を信じたい。何が悪いの……?」

「医者を信じるのは間違いじゃない。でも白石紗月を疑って、黒瀬律のことを気にしてないなんて言うべきじゃなかった」

腕を組んだ神谷怜が、背伸びしたみたいな口調で言い返す...

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