第85章

「黒瀬蓮、少しは道理をわきまえてくれない?」

私は神谷怜を胸に抱き寄せたまま、むっとして彼を睨みつける。

「黒瀬律のそばには、あなたも美玲もいるでしょう。私が守る必要なんてないんじゃない?」

黒瀬蓮の感情が揺れたのを察したのか、美玲がすぐに鼻で笑った。

「白石紗月お姉さん、ひどすぎます。普段から神谷怜くんをえこひいきしてるのはまだしも、こんな時までかばうなんて」

「黒瀬律くんが、どれだけ悔しい思いをしたか分かってるんですか?」

「美玲さん。そんなに私を黒瀬律のほうへ押しつけたいのは、あなたが黒瀬律を持て余してるからじゃない?」

「自分で面倒を見るのが嫌で、あの子が起こした厄介事...

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