第89章

空港の搭乗待合室で、私は帰国便に乗る準備をしていた。

そのとき、スマホが唐突に鳴る。秘書からだった。

「神谷悠真社長、大変です。神谷怜くんと黒瀬グループ社長のご子息――黒瀬律くんが、幼稚園で揉めました。白石紗月さんも現場にいて……状況が良くありません」

胸の奥がひゅっと縮む。

紗月と怜が、幼稚園でいじめられた……?

「具体的に」

「黒瀬律くんが、白石紗月さんは以前“医者に止めを刺すように救命を妨害した”、自分を殺そうとした、と主張しているそうです。白石さんは黒瀬さんと対峙していて、空気がかなり険悪です」

私はスマホを握り締め、視線が冷たく沈んだ。

黒瀬蓮、今度は何をやっている...

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