第7章

四方堂蓮は、ドアの前で長いこと佇んでいた。

ドアスコープ越しに覗くと、彼はクラフト紙の袋を手に提げ、パリッとしたスーツを着こなしている。

ノックの音が響く。

私はドアを開けた。

「入って」

そう促す。彼は中に入り、ローテーブルの上に紙袋を置いた。その動作は、ひどく静かだった。

「これは？」

「君のものだ」

紙袋を開ける。

最初に目に飛び込んできたのは、家の権利書だった。

表紙には両親の名前が記され、住所は実家のあの二階建てを示している。ページをめくると、父の署名があった。筆圧の強い、あの文字だ。

傍らには書類の束がある。

裁判所の判決文。債務弁済証...