第109章

羽岡助手が路地の奥を警戒するように睨んだ。

「誰だ!」

胸が跳ねる。咄嗟に身を翻して逃げようとした、その瞬間――口を塞がれ、腕を引かれて、脇の小さな店の中へと引きずり込まれた。

「言っただろ。早山司についていけば、後悔するって」

背後から聞こえたのは、藤原浩史の声だった。

私は一瞬だけ固まって、それから眉をひそめる。警戒を隠さず、藤原浩史を見た。

「藤原様って、そんなにお暇なんですか」

「たまたま通りかかっただけだよ」

からかうように言って、藤原浩史は店の棚に手を伸ばし、マンゴー味の棒付きキャンディを一本取って私に差し出した。

――たぶん、私を本川西子だと思ってる。

西子...

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